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ロタウイルス胃腸炎による痙攣

ロタウイルス胃腸炎といえば

乳児白色便性下痢症になることで有名です。


小児科でも

「子供の便が白いのです」

と相談を受けることが多いです。


一般的には冬季に流行するするのですが

今の時期でもたまに

ロタウイルスに感染したお子様をつれてこられることがあります。



驚いたのは


痙攣発作を主訴にこられた患者さんの診断が


ロタウイルス感染になるとは…


今回は、そんな症例です。。



患者は4歳の男の子でした。

救急に電話がかかってきたのは

「息子がぼーっとして倒れた」

という情報でした。



来院時、焦点は合わず、何も言わない。。

診察をしようと思った瞬間。


ガタガタ…


思いっきり体を震えさせる。



全身性で左右対称に起った強直性間代性痙攣発作だ!



熱性痙攣か!


熱は?

37.2℃だったはず…


取りあえずベットに移動してダイアップ(ジアゼパム)…



上司「先生、さっきもこんな感じで倒れたんです…」



お、お母さん…あんまり慌ててないけど…

痙攣発作じゃないですか…



痙攣は30秒から1分ほどで止まるが

うつろな目のまま。。



取りあえず、倒れたという話もあるので

ルートを確保して頭部CTのみ行う



当然の如くなにもない。


ほっと一息。。




熱性痙攣かな?



そう思っていたときに上司がお母さんに質問したことは


上司「お母さん、下痢してなかった?」


「はい。。おとついから下痢気味で…昨日も何度もお腹が痛いって言ってました。。」


上司「そうですか…おい、ヨン、便とれたら、ロタの検査も出しておいて」



「は、はい…ロタもですか?」


上司「おう。」



なぜ?ロタウイルスによるウイルス性脳炎なの??


取りあえず言われたように検査のオーダを出し入院手続きを行う。




採血の結果は電解質の異常はない。やや脱水を疑わす数値も出ているが

それほどひどいわけでもない。。



熱性痙攣ではないのかな?

熱は37℃台だけど…




入院手続きを済ませた後も不思議な疑問がよぎる。



学生の頃から使っている小児科の専門書を読んでみるが

ロタウイルスと痙攣の関連は書かれていない。。



う〜ん…


なぜロタ?

ロタを疑ったのはなぜだ??


そうこうしているうちに検査の結果も出る


『便中ロタウイルス抗原陽性』





本当だ…



「先生、ロタ陽性でした」


「やっぱりね。また、痙攣起こすかもしれないよ。

 続くようならばアレビアチン(フェニトイン)を使うかな?」



病棟から電話がかかる…


「また、痙攣が出ました。」


上司「仕方がないな…アレビアチンを150mgを注射用蒸留水に溶かして20分から30分ぐらいで流して。」



見に行ったときには痙攣は治っていたが

目はうつろなままであった。


アレビアチンを使用し

上司と話をする



上司「ロタウイルスの痙攣は躾濃いときあるからな…。

 脱水が取れただけで治れば良いって思っていたけど…
 
 今回は厳しいかな?」


「先生、ロタウイルスで痙攣を起こすって教科書にも書いてなかった気がするのですが…」



「そうか?たまに見かけるぞ。どっかに書いてるって。」



確かに…


乳児白色便性下痢症のところに

「ロタウイルスに感染すると、
 48時間前後の潜伏期ののち発熱、嘔吐、下痢を来し、
 時に強い脱水症状を呈したり痙攣を伴うことがある。」

と書かれていた…



本当だ…書いていた。。



納得していると

再び、病棟から

「1分ぐらい続く痙攣がまた出ました」


が〜〜ん…


ダイアップとアレビアチンを使ってもまだ痙攣が出るのか…



見に行ったときには痙攣は止まっていた


と思っていたら


再び痙攣発作が出現。。



上司「キシロカイン(リドカイン)用意して。」


「えっ?キシロカイン??」


上司「そう、キシロカインだよ。知らないのか?」


「はぁ…」


上司「勉強しろよ。。」


「さっき、痙攣の対応を読んだときに書いてましたが

 まさか本当に使うとは…不整脈が出て怖そうだし…」


上司「使うよ。。モニターしながらね。。うまくいけば痙攣も止まるから」


そして、言われるままにキシロカインをゆっくり静注…




その後…



病棟からの電話はなくなり



朝を迎える。。




昨日のうつろな目が嘘のように元気になっている。





上司「止まったみたいだな。」

「止まってますね。」

上司「ロタウイルスからの痙攣は急性期を過ぎて脱水が改善したら自然と治るからな」

「そうなんですか〜」

上司「良い経験できたな」

「はぁ〜1人では絶対に見たくないです。心臓に悪すぎます」

上司「そっか?次は出来るって」




上司は慰めてくれたが…



俺のような落ちこぼれでは

小児科医には絶対になれないわ


いや、なってはいけない気がする…



この新研修システムで必須の小児科研修

数ヶ月回っただけで

将来、最低限度の小児科対応でもできるとは思えない。。



いわゆる風邪や熱で軽症ならば薬ぐらい出せると思うが…


下手に熱性痙攣だと判断して…



想像しただけでぞっとする…




結局、2泊して、元気に帰りました。


まったく、脳波にも異常は見られず、今のところまったく異常なしで


元気よく退院しました。





小児科の唯一良いところは


重症であった子供が


本当に元気になって帰ってくれることですが


いろんな意味で厳しく恐ろしい仕事です。

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【2007/06/09 20:57】 | 小児科 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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